モドキは「似て非なるもの」という意味で、物の名前では○○モドキという風に使われます。
 といっても、身近な例ではガンモドキくらいしか思い浮かびませんが、生き物の世界となるとこれがやたらと多く、スッポンモドキ、サソリモドキ、アゲハモドキ…..いくらでも出てきます。                      
 今回取り上げるカマキリモドキもその一つです。名前の通りカマキリのカマに似た前足をもち、ほかの虫などを襲って食べる習性も同じですが、分類上はカマキリとは遠く離れてウスバカゲロウやツノトンボと同じ脈翅類に属します。
 カマキリモドキの魅力は、変わったスタイルもさることながら、翅脈(ハネにあるすじのようなもの)の美しさにあります。脈翅類というグループ名も、そのメンバーであるクサカゲロウの英名lacewing( = レースのようなハネ)もそこに着目して付けられていますが、なかでもキカマキリモドキのハネは繊細で優美です。あくまで透明なハネに描かれた幾何学模様をながめていると、思わず惹き込まれてしまいます。
 そんなカマキリモドキですが、野外で見ようとするとなかなか大変です。夏から秋にかけて木の葉や花の上で見られるとされていますが、見つけようとして簡単に見つかるものではなく、私は探し始めてから見つけるまでに10年以上かかりました。
 でも、その出会いはあっけないものでした。あるとき虫の友人が採集のついでに我が家に寄ってくれ、たまたまこの虫の話をしたところ、ポケットから毒ビンを取り出し、その中にはなんとカマキリモドキがぎっしりつまっていたのです。呆然としながらどうやって採ったのかをたずねると、夜、長野県の大糸線の駅の近くでコンビニに寄ったら明るいガラス面の外側をいっぱい歩いていたとのことでした。その日話しを聞いて標本を分けてもらった時点で私のモチベーションはだいぶ低下してしまいましたが、後日教えてもらった場所に出かけ、自分でもキカマキリモドキとヒメカマキリモドキを多数採集することができました。
 その後また長い年月がたち、もうこの虫のことを意識しなくなっていた去年の夏、カメノコハムシを探して歩いていた南葉山の山中で目の前をふわっと飛んで木の葉にとまったのが、上越では初めて出会うキカマキリモドキでした。
 それでようやく、大好きなこの虫のことをこの上越の生き物コーナーで書くことができました。

(ミ)