トゲトゲ、カメノコハムシと続けたハムシの話し、最後はオオルリハムシです。
私は昆虫が大好きで、ジャンルを問わずに標本を集めていますが、ハムシはあまり好きではありません。色はきれいなものが多いものの、形があまりに平凡だったり、どこにでもやたらといっぱいいて蒐集欲が刺激されないのです。そんな中での数少ない例外がトゲトゲとカメノコハムシであり、もう一つがこのオオルリハムシです。
オオルリハムシは日本では本州だけにいて、それもどこにでもいるわけではなく、食草のシロネの生える湿原を中心に各地に点々と分布しています。ハムシの仲間では最大種で全長は1.5センチくらい、形はごくふつうのハムシ型です。色については、おおざっぱに言うと、日本海側にすむものは青(藍色)で、太平洋側にすむものは赤(朱色)です。ですからこの種名は日本海側のものを見て名づけられたはずで、もし先に見つかったのが太平洋側のものだったらまったく別の名前になっていたでしょう。
この虫の魅力は、湿地という特殊な環境にすむためそれぞれの産地が孤立していて、互いに交流のないまま永い時が過ぎた結果、それぞれの地域ごとに別々の色彩になっていること、所謂、色の地域変異が大きいことです。上越地域にすむ個体群は日本海側の青色グループに含まれますが、その色調はさまざまで単純ではありません。その中で一番多く見られるタイプは、輝く藍色に緑色のストライプが入ったとても美しいものです。おそらくオオルリハムシの中でも最も美しいタイプと言っていいと思います。
かっては大潟区の鵜の池が多産地として知られていて、歩道のわきの湿地に生えたシロネの葉上に無数の個体が群がっているのを私も見たことがありますが、現在そこではまったく見ることができません。10年ほど前に、公園を造るための工事でその周辺のシロネがすべて刈り払われたことが原因と言われています。 それでもまだどこかで生き延びているはずと、大潟水と森公園のパークレンジャーの皆さんも探していますが、食草のシロネは復活しているものの、今のところ再発見できていません。
他にも何カ所か産地があったのですが、湿地そのものが失われて行く中で残念ながら次々に姿を消してしまい、現在上越ではっきり生息が確認できている産地は2か所だけです。
でも、昆虫の場合、特に最近はまとまった分布調査などほとんどされていないので、まだ知られていない産地は必ずあるはずです。皆さんも、もしどこかで湿地に生えているシロネを見かけたらぜひ探してみてください。大きくて色も目立つので、いればすぐに見つかります。
それを見たら、宝石のような美しさという表現が決して大げさでないことがきっとわかっていただけることでしょう。

(ミ)