[ジンガサハムシ 撮影:今村美由紀]

 前々回のこのコーナーでトゲトゲのことを書きましたが、今回もそれに近い仲間のカメノコハムシをご紹介します。

 カメノコハムシはトゲトゲと共に、ハムシ科の中で小さなグループを構成しています。現在までに日本から6属25種類が知られ、そのうち半分くらいは上越でも普通に見ることができます。カメノコハムシ(亀の子葉虫)という可愛い名前のとおり、丸くて平たい体がトレードマークですが、25種類のうち7種類はカメノコハムシではなくジンガサハムシという名がつけられています。ジンガサは「陣笠」で、これもこの虫の特徴をよく表していますが、「亀の子」と違ってちょっといかめしい感じがします。それでは、カメノコハムシとジンガサハムシはどこが違うのかというと、分類上の違いはありません。同じ属の中にもカメノコがいたりジンガサがいたりするので、一見、命名者の気分で適当につけられているようにも思えます。でもよく見てみると、一部例外はあるものの、ハネに透明な部分のある種類にジンガサハムシ、そうでない種類にカメノコハムシの名がついていることがわかります。

[セモンジンガサハムシ  撮影:今村美由紀]

 ジンガサハムシは、甲虫なのにハネが透明というだけでも充分に変わった存在ですが、もうひとつ、色彩がとても美しいのです。種類によって体が黄金色に輝くものや、黒い背中に金色のXマークが浮き出すもの、暗紫色に金緑色のラインがキラキラ光るものなど、その美しさは数ある甲虫の中でもトップクラスです。それほどすごい虫なのにあまり人に知られていないわけは、ひとつには全長4~9ミリというそのサイズにあります。もうひとつは、この美しさが生きているとき限定ということです。どうやらジンガサハムシの輝きには体内の水分が関係しているらしく、標本にすると大体1日くらいでスッと消えてしまいます。ですから、他の色鮮やかな昆虫たちのように標本展で人目を惹く存在にはなりえないのです。

 というわけで、ジンガサハムシの美しさを体感するには、実際に彼らがすんでいるところに行ってみるしかありません。幸いに、代表的な種類であるジンガサハムシは別に珍しいものではなく、林の縁や空き地に生えているヒルガオを探して、丸い穴がたくさん開いている葉があったら静かに裏返してみると見つけることができます。ついでに、近くにアザミがあったら葉の表面をよく見てください。カメノコハムシの中で一番普通に見られるアオカメノコハムシがくっついているかもしれません。