池の守り神が語源? 神秘的なイモリ

イモリは、間違えられることも多いのですが、陸にすむトカゲやヤモリの仲間(爬虫類)ではなく、カエルやサンショウウオと同じ両生類に属します。地球の歴史の中では、生命が海で生まれ、やがて水中から陸に上がっていくまさに歴史的な瞬間の主役を務めた水陸両用の生き物です。両生類と爬虫類には互いに姿の似ている種類も多くいますが、よく見ると両生類のほうが人(?)の良さそうな顔をしていて好感が持てます。かって、陸地が生き物で溢れ弱肉強食の戦いが繰り広げられる前の穏やかな時代を永く過ごしたからでしょうか。でもそんな中にあって、イモリの目つきはあんまり良くありません。系統的なことはぜんぜんわかりませんが、両生類としては後発のグループなのかもしれません。

それから、イモリの卵もよくまちがえられます。春先に山沿いの田んぼや沼で、アケビの実に似た白くて長いものがバナナの房のようにくっついているのを見かけます。それがイモリの卵だと思っている人が多いようですが、実はクロサンショウウオの卵で、イモリの卵は、色は同じですがピンポン球のような丸いかたちをしています。野外で見つかるのは圧倒的にクロサンショウウオの卵のほうが多く、ごくふつうに見られるのできっとイモリだと思われているようです。クロサンショウウオもべつに珍しいものではないのですが、イモリと違って成体になると水辺から離れてしまうため目に触れる機会はあまりありません。

以前このコーナーでアマガエルが長命だということを書きましたが、イモリはそれ以上に長生きするようです。当社のショールームには6年前から水辺の生き物が暮らすアクア・テラリウムが設置されていますが、最初から1匹だけいるイモリのもりぞうが今も元気に暮らしています。普段は姿を見せないくせに、餌をやったときだけ現れ、でっぷり太った体を揺らして赤いお腹を見せながら泳いだりしています。ちょっとインターネットで調べてみたら、イモリの寿命は飼育下ではなんと20年くらいとされていました。そんなにすごい生き物なのかと改めて見なおすと、小さな体全身に太古の生物を思わせるような神秘的な雰囲気が漂っているようでした。

(ミ)