梅雨明けと同時にいままでの分を取り戻すような暑い夏となりました。
もう半月もすれば.またお盆がやってきます。今年もまた何人か思い出す人の数が増えました、
年令を重ねるごとに多くなるのは致し方のないことですが。

ところで仏教のほか、古代我が国の祖霊信仰や中国の風習などが絡み合った
この年中行事に欠かせないのが先祖に捧げる「盆花」、
地方や場所によって上げる種類は、ハス、オミナエシ、キキョウなどいろいろです。
かってはこれにも民俗的な約束事があったようですが、ミソハギを飾る習慣はほぼ全国的なようです。

ミソハギはかっては田んぼや池の畔など水辺に広く見られた背の高い多年草で、
7月から8月にかけて美しい赤紫の小花を咲かせる種類、乾燥にも結構強く、
我が家でも以前祖母が畑の隅に植えていました。

記録された地方名もボンバナ、オショウライバナ(御精霊花)、
これに近い名前が多く、また別系統のミズハギ、ミズカケグサなど水に関係する名も
長野県、和歌山県などで記録されていて面白く感じました。

ミソハギの名は平安時代の記録まで遡るほど古いものですが、
湯浅浩史さんの「植物と年中行事」によれば、ミソハギは「禊ぎ萩」からの転訛で、
長野県でこの草を水で濡らしてお盆の祭壇に水を掛ける事例を挙げ、
水辺で行われる「禊ぎ」など水辺での宗教行事に由来するものではないかと書かれています。
お盆といえばお墓に水を掛けたり、精霊棚の敷物もマコモやガマなど水辺の植物で作る例が多いことと、本の中で言及されている「七夕行事」との関連も併せ その水脈に興味がそそられます。

ミソハギとセットで飾られる他の花にもそれぞれに意味があるようで、
極楽に咲くハスの花は言わずもがな。
オミナエシの黄色の花はアワバナの地方名のように穀物の粟に、
また一緒に飾られる例の多い白花のオトコエシは米に見立てられて
先祖への供物と考えられ、先祖の乗り物としての胡瓜と茄子で作った馬と牛のように、
そこには文字通りの「行いごと」に対する真摯な願いが込められておりました。

なお残るキキョウについては、思い浮かぶものがなく、
よく分からないというのが本音(上記の本も同様)。
私は膨らんだ蕾から「盆提灯」の類を連想したのですが、
根拠となる地方名にそのようなものは見当たらず、
やはりあの夜(幽)と朝(明)のあわいの空のような 独特な花の色と関係があるのでしょうか。
識者の方に教えていただきたいところです。

(ハ)