乾燥寒冷地であるドルノゴビの沙漠は、低木(主にマメ科・ハマビシ科・ギョリュウ科)と草が薄い密度で生えているだけ。大きな木はほとんど見当たらず、草木がほとんど生えない礫沙漠も多い。沙漠の草は雨量で成長が決まり、雨の多い年は草が多く家畜も良く育ちます。
旱魃になると家畜がたくさん死んでしまいます。遊牧民にとって、放牧技術と雨が家計の綱なのです。

樹高5mを越える木が生えるのは、雨季に水が集まる地下水位の高い水無し川のような場所に限られ、それもノニレやサクソール、コトカケヤナギの3種だけ。
その場所の多くが家畜の水場と重なります。
遊牧民は燃料に乾いた家畜糞も使いますが、燃焼効率のよい木が手に入れば都合がよく、最近までこれらの木を利用したようです。

今は保護のため、枯木以外の伐採・利用は禁止されました。
木の根元は、ハリネズミやマーモットなどの動物の棲みかになっていています。幾度も沙漠を駆け抜けるモンゴルガゼルの群れに遭遇しました。沙漠は思いのほか生きものが多いのです。



モウコネジアヤメ(アヤメ科)

モウコネジアヤメ(アヤメ科)



東ゴビ沙漠にも乾燥高地の花が咲きますが、モンゴル北部の森林地帯に比べ種類が限られます。それでもノニレの近くに群生していたモウコネジアヤメ、がっしりした大型の葉で家畜の摂食にも負けません。大ぶりな草の姿に似合わず、花は優しい薄紫色で沙漠の妖精のようでした。

知人がモンゴルに園芸会社を設立しています。新潟の花を持ち込み現地で販売を始めました。現地では『沙漠の花シリーズの開発』に取り組んでいます。皆さんも、いつか新潟でゴビ沙漠の花に出逢うかもしれません。

(おわり)


片岡 廣夫(かたおか・ひろお)1949年生まれ 新潟県加茂市在住
NPO法人エコロジーネットワーク理事長/NPO法人新潟県対外科学技術交流協会理事
みどりの風環境デザイン事務所主宰/花と緑に包まれた環境デザインをライフワークにしています。
最近は『三条市道の駅・保内庭園の郷のプロデュースと同施設の庭園と緑地の設計監理』『山間集落の都市交流による活性化』などに取り組んでいます。