カシパンは海にすむウニのなかまですが、普通のウニとはまったく違った姿をしています。
名前の由来は「菓子パン」そのままですが、とても薄くて平たいので、菓子パンというより薄焼きクッキーと言った方がイメージしやすいでしょう。
海底の砂の中に埋もれながら流れてくる微小な有機物を食べて暮らしているそうです。

カシパンのなかまは日本にも何種かいて、一番普通のハスノハカシパンはこの辺の浜辺でも打ち上げられたものを拾うことができます。
たいていは白っぽい殻(イラスト参照)の状態で見つかりますが、たまに、ごく短い毛(実際は棘)が密生した生きているままの姿でも見つかることがあります。

探すなら貝殻がたくさん落ちているような砂浜が狙い目で、私は以前、柏崎から西山にかけての浜辺を歩いてかなりの数を拾うことができました。良いポイントに当たると貝殻やカシパンの他に様々な漂着物が打ち上げられていて、そんな場所では多くの人が、海辺の宝探し、ビーチコーミングを楽しんでいます。

平たい殻と大きな花びら模様がトレードマークのカシパンは、固い体で足もないのにいったいどうして動けるのかというところからもう不思議なのですが、裏側の短い棘を動かして移動するのだそうです。体形は基本的には薄い円盤型ですが、種類によって大小の貫通穴があったり、その穴が外側に広がって抜けて周縁部が凹凸になったりすることで、何とも不思議で魅力的な形ができあがっています。

10 年ほど前、カシパンのコレクションに力を入れていた時に、図鑑などで見ることのできる20 数種類のほとんどは集まったのですが、一番欲しかったハグルマスカシカシパン(Rotuladeciesdigitatus) だけが最後まで残ったままになっていました。
最近になってようやく西アフリカ産の実物を手にすることができましたが、本当にすごい形で、ここまで来るともう何がなんだか、という感じです。

生きるためにどんなメリットがあってこんな形をしているのか、なんてことを考えるのはもうやめにして、神様が見せてくれる不思議をただ素直に楽しめばいいと思いました。

(ミ)