変化するドルノゴビの羊の放牧風景



厳しい沙漠では遊牧能力によって家畜の飼育頭数を増やすことができます。
『遊牧』は沙漠の自然を知り尽くし、その恵みを余すことなく利用することで成立する牧畜なのです。
過酷な自然と遊牧の絶妙なバランスを崩すと大切な家畜の多くを失ってしまいます。
日本の里山荒廃とは背景が違いますが、東ゴビ沙漠でも人の営みと自然との微妙なバランスが崩れ始めています。

モンゴルは1900 年初頭の民主化以来、地方都市にも経済変化の波が押し寄せました。社会主義時代に比べ生活を支える行政サービスが切り捨てられ、遊牧生活は厳しさを増しているのも事実。
時代の流れに乗る人がいる一方で、不安定な遊牧をやめて現金収入を求め、首都ウランバートルや地方の都市周辺に移り住む国内移民が増えています。

モンゴル北部の森林地帯や中部の草原地帯に比べ、南東部のドルノゴビは過酷な沙漠です。
さらに限られた草を利用する知恵が必要になります。
ヤギは前足で草の根を掘り枯らすので、ドルノゴビでヤギとヒツジを3:7ぐらいで放牧していました。
今は現金収入の多いカシミヤヤギの過放牧で草原が荒れ、そこに気候変動が拍車をかけます。
最近、大手量販店が破壊的な価格でカシミヤ製品を流通させています。そのことも、カシミヤヤギの過放牧と沙漠化を助長する一因のように思います。

大陸から新潟にも飛来する黄砂の発生源の一つがゴビ沙漠です。沙漠の危機の一端が新潟にも影響を与え、私たちの消費生活がゴビ沙漠の荒廃に結びついていることを実感しました。

沙漠のネギを食べてみる



ドルノゴビの沙漠には、日本のアサズキの母種に当たる小さなネギがたくさん生えていて、薄い赤紫の花を咲かせます。現地の人は、ゴビの肉が旨いのは家畜がこの草をたくさん食べるからだと自慢します。
沙漠のど真ん中の昼飯で、日本のカップラーメンに投げ込んで食べてみました。沙漠の特別な味を期待しましたが薄いネギの香りがしただけ。

(続く)


片岡 廣夫(かたおか・ひろお)1949年生まれ 新潟県加茂市在住
NPO法人エコロジーネットワーク理事長/NPO法人新潟県対外科学技術交流協会理事
みどりの風環境デザイン事務所主宰/花と緑に包まれた環境デザインをライフワークにしています。
最近は『三条市道の駅・保内庭園の郷のプロデュースと同施設の庭園と緑地の設計監理』『山間集落の都市交流による活性化』などに取り組んでいます。