私は子供のころからずっと昆虫の標本を蒐集してきました。

最初は身近な蝶から始まり、次第に海外の蝶、そして大型の甲虫や蛾などにも興味が広がって、今はハチでもカメムシでも、面白いと思えばジャンルを問わず何でも集めています。

ここ数年は、興味の対象がだんだん小型化し、今では1 センチの虫なら大きいと感じるようになりました。
そんな中でも特に好きなのがコブスジツノゴミムシダマシという甲虫です。体長は7~8ミリですがこの仲間の中では大型で、オスは斜め上に向いた2 本の立派な角を持ち、全体の雰囲気が恐竜のトリケラトプス風でとてもかっこいいのです。

最初は図鑑でその姿を見て感動し、自分でも採りたいと思って調べてみると、別に珍しいものではなく、サルノコシカケに集まるということがわかりました。
それなら簡単と軽く考えて近くの林を歩いてみましたが、いざ改めて探してみると、昔はどこでもふつうにあったはずのサルノコシカケが何故か全然見つかりません。
山に詳しそうな人にも聞いてみましたが、そういえば最近は見ないという声が多く、良い情報は得られませんでした。

そんなところに、友人が富山県の山中で見つけたというサルノコシカケ(正確にはツリガネダケという種類)を持ってきてくれました。
かなり古びていて小さい穴がたくさんあいていたので絶対中に虫がいると思い、プラケースに入れて時々霧吹きで水を吹きかけながら様子を見ていました。
しばらくはこれといった変化もなくて半分忘れかけていた夏の終わり頃、ふと思い出してのぞいてみたら、窪みに何かいて、目を近づけてよく見るとそれがコブスジツノゴミムシダマシのメスでした。
ちゃんと探すと立派な角を持ったオスも含めて9 頭も見つかりました。
熱心に探していた虫との初対面が家の中というのはちょっと拍子抜けでしたが、とても嬉しかったです。
とりあえず必要な分だけ標本にして、残りはそのまま飼っていますが、成虫・幼虫共に住み家のサルノコシカケがそのまま餌でもあるので、時々霧吹きで水をかける他は何もすることがありません。
多分これほど手のかからないペットは他にいないでしょう。これでもうちょっとサイズが大きければ皆さんにもおススメしたいところです。

(ミ)