小さなからだをとげで守る  トゲトゲのなかま

トゲトゲ。名前の通り、身体中に棘を生やした小さな甲虫で、日本には約10種類がすんでいます。このうち上越で見られるのは、はっきりしたことはわかりませんが多分5種類くらいでしょう。

どのトゲトゲも、見れば見るほどカッコイイ虫なのですが、なにしろ小さい。大型種のクロルリトゲトゲでも全長5ミリほどしかありません。せめてコガネムシくらいの大きさがあれば、カブトやクワガタのように子供たちの人気者になれるはずなのに、このサイズのおかげで、まず誰にも気づいてもらえません。自然が好きで昆虫も好きで、よく野山を散策しているという人でも、実際にトゲトゲを見たことがある人はあまりいないのではないでしょうか。

こんな虫がいるなら見てみたいと思った方は、ちょうどこれからトゲトゲのシーズンになりますから、探してみてください。一番見つけやすいのはクロルリトゲトゲで、山道のわきに生えているススキの葉をたんねんに見てゆくと葉の表面にくっついています。目のいい人なら肉眼でもびっしり生えたトゲのようすが確認できますが、視力に自信のない方は虫めがねを持っていかれたほうがいいでしょう。

ところで、私はこの虫も、またトゲトゲというユーモラスな名前もとても好きなのですが、残念ながらこの名前は消えてしまいそうです。最近の文献では「トゲトゲ」ではなく「トゲハムシ」とされることが多くなっていて、クロルリトゲトゲはクロルリトゲハムシ、写真のカヤノトゲトゲは大きく変わってクロトゲハムシという具合です。ハムシ科で棘のある昆虫だからトゲハムシというのは、種名として正確かもしれませんが、私は好きになれません。名前にセンスが感じられないということもありますが、それよりも一度正式に名付けられて永く慣れ親しんできた生き物の名前は、簡単に変えてはならないと思うのです。

でも、最近こうした種名の変更はけっこうあって、有名なところでは、魚の世界でイザリウオがカエルアンコウにされたりメクラウナギがヌタウナギにされたりしています。ご存知の方もおられると思いますが、改名の理由は、名前に差別用語が含まれていたためというものでした。そんな理由で、魚好きなら誰でも知っているこれまでずっと親しまれてきたイザリウオの名が消えてしまったのです。

  もしこんなことが昆虫にも適用されたら、例えば、真っ暗な洞窟にすみ目が退化して体も小型化したメクラチビゴミムシなど、差別用語?のオンパレードみたいな虫たちはいったいどうなるのでしょう。イザリウオが差別を助長するなどとはまったく思えない私としては、学者の方たちがもう変な名前を用意していないことを願うばかりです。(ミ)