陶器のようなつややかさ コブシガニの仲間

今回は海にすむカニ、コブシガニのなかまをご紹介します。

ふつうカニと言われて頭に浮かぶのは、ズワイガニ、ベニズワイガニ、ケガニ、ワタリガニ(ガザミ)、タラバガニ、といったところでしょうか。淡水にすむサワガニとモクズガニもよく知られていますが、いずれにしても、ほとんどの方はカニ=食べ物としてイメージされるのではないでしょうか。

私は、食べるカニも大好きですが、それとは別に、形の面白さに魅せられ機会があると標本を集めてきました。幸い今はインターネットの発達により外国の珍しいカニでも簡単に買ったりできるのですが、逆に地元のカニは、食用種以外手に入れるのは容易ではありません。そんな中、数年前に、大潟区の浜で刺し網漁をされている方のご好意で、網にかかったカニを半年ほど継続的にもらい受けることができました。その結果、種名のわからない2種を含めなんと20種類のカニが手に入ったのです。その中で特に目をひいたのが海底の砂の中にすむコブシガニのなかまで、4種類ありました。普通のカニは死んで乾燥すると本来の色が抜けてしまうのですが、ツノナガコブシやタテスジコブシは殻が厚く硬いせいか、死後も陶器のようなつやと美しい色合いが残り、標本を見ても作り物と見紛う程です。こんなカニがこの辺の海にいたことは私にとって驚きで、ますますコレクションが楽しくなりました。

カニのことを書いたついでに、カニとエビ、ヤドカリの関係も書いておきます。大雑把な言い方ですが、分類学的には甲殻類の中にカニ(短尾類)とエビ(長尾類)がいて、その中間にヤドカリ(異尾類)がいると考えるとわかりやすいと思います。そうして、ヤドカリにはおなじみの貝の殻を背負ったグループの他に、カニの姿をしたグループとエビの姿をしたグループがいます。カニ型の代表はタラバガニなどで、エビ型の代表はコシオリエビの仲間です。ヤドカリとカニ・エビを区別する方法はと言うと、大きなポイントは足の数で、カニやエビはハサミを入れて左右5本ずつなのに対しヤドカリは4本ずつとされています。では、なぜそこで区別するのかと聞かれると、分類上そう決められているからとしか答えられません。

そういうわけで、タラバガニは本当はカニではなくてヤドカリということになるのですが、分類学者ならともかく、私たちはあまり難しく考えずに、タラバガニはカニ、貝殻をしょったのがヤドカリ、これでいいのではないでしょうか。ヤドカリという名はあの丸っこい可愛らしい姿にこそ相応しいものですし、タラバガニも、ヤドカリよりもカニでいてもらったほうがおいしく食べられそうですから。

(ミ)

写真 左:テナガコブシ 右:タテスジコブシ

大潟区で採れたカニと外国の変わったカニやウニをただいまショールームで展示中です。ぜひご覧下さい。