真珠色の輝き  ウラクロシジミ

前回このコーナーでマンサクをご紹介しましたが、今回は、幼虫がマンサクの葉を食べて育つウラクロシジミという蝶について書きたいと思います。

ウラクロシジミは、その名の通りハネの裏が黒っぽい色をした小さなシジミチョウです。名前からしてなんとなく地味な姿を想像してしまいますが実はそうではありません。裏とは一変 ハネの表は一面真珠光沢のある純白色でとても美しく、日本にすむおよそ250種類の蝶の中でこんな色をしたものは他にいません。但しそれはオスだけで、メスは灰色がかった地味な色をしています。おもしろいことに、オスとメスとでは表がこんなに違っていても裏面はまったく同じで、これはオス・メスで模様が違う蝶の多くに共通した特徴です。

日本の蝶の中にミドリシジミ類というグループがあり、愛好家の間ではゼフィルスの愛称で呼ばれとても人気があります。25種類が知られていて、ウラクロシジミもその一員です。ゼフィルス(Zephyrus)というのはこのグループの古い属名で、ラテン語で西風という意味だそうです。緑や青色の金属色に輝くもの、鮮やかな橙色をしたものなど美しい種類がそろっていますが、その中でもウラクロシジミは独特の存在です。また、マンサクが食樹(幼虫の餌となる植物)というのも変わっていて、日本の蝶ではウラクロシジミただ1種だけです。

私のこの蝶との思い出は、中学生のとき、そこにいると教えられて出かけた朝日山(南葉山の隣りの山)で本当に見つけて採集でき、嬉しくて山を駆け下りてきたことと、大学時代に、当時ゼフィルスのメッカと呼ばれていた鳥取県の大山の麓で、夕暮れ たくさんのオスたちがまるで白い紙吹雪のように舞い飛ぶ様子を見てただただ感動していたことです。特に珍しいわけではないこの蝶との出会いは他にもたくさんあったはずなのですが、いまはこの2つのシーンだけが懐かしく目に浮かんできます。

こんなウラクロシジミを実際に見てみたいと思ったら、6月の上旬から下旬の間に、夕方、五智公園に行ってみて下さい。そうして公園の上にある遊歩道をぶらぶらと歩いていれば、たぶんあちらこちらでキラキラと輝いて飛んでいる姿を見ることができるでしょう。

(ミ)