201312-06 スッポンは亀の仲間ですが、他の亀とは随分違い、柔らかでなめらかな甲羅と細く伸びた口先、足には大きな水かきをもっています。ユニークな姿を絵や写真でもよく見かける他スッポン料理も有名なので、日本人には馴染みの深い生き物です。それにしても、クイツキガメでもヤワラカガメでもなくスッポン。不思議な名の由来は定かでありませんが、この名前だけ見ても、昔からただの亀ではない特別な存在として認識されていたことがわかります。
 北海道を除く日本全国にいて、もちろん上越にもすんでいますが、実際に野外でその姿を見たという人はあまりいないのではないでしょうか。私も見たことはありません。ほとんど水中で暮らしていて、たまに出てきて甲羅干しをすることはあっても、人の気配を感じるとすぐに姿を隠してしまうのだそうです。 私はこのカメが大好きなので、家で飼育もしながら、自然な姿を見たくなると長野の善光寺に行っていました。境内に亀の池というのがあって、クサガメやミドリガメに混じっていつも大きなスッポンが甲羅干しをしていました。ただ、飼いきれなくなったものが放されるのか、いつの間にかミドリガメ(ミシシッピーアカミミガメ)ばかりが多くなり、あまり自然な景色とは言えなくなってしまいました。もう行かなくなって随分経ちますが、長命なスッポンのことですから、きっと今でも暖かい時期にはそこでのんびりと日光浴をしていることでしょう。
 日本のスッポンのことを書いたついでに、海外の有名種にもふれておきます。インドなどにすむハコスッポンは、スッポンなのにハコガメのように手足を引っ込めて甲羅でふたをすることができます。甲長30センチほどでスッポンとしては小型で平和的な種類です。逆に大きなものでは中国とベトナムにシャンハイハナスッポンがいます。最大で甲長2メートルに達するという怪物ですが、残念なことに絶滅寸前のようです。この辺の地域には、他にもマルスッポンやコガシラスッポンなど1メートル超えの種類が何種もいて、なぜそこだけに巨大スッポンたちが集まっているのかとても不思議です。

 また、ニューギニア島とオーストラリア北部にはスッポンモドキがすんでいます。スッポンとウミガメを合わせたような姿をしていて、大きなひれ状の手足で水中を泳いで暮らしています。英名のフライリバー・タートル(フライ川のカメ)は、最初に発見されたニューギニア島の川の名に因んでいます。私は学生時代、世界最美の蝶とされるトリバネアゲハの希少種を探してニューギニア島のパプア側を1か月ほど旅したことがありますが、偶然に通りかかったフライ川の岸辺で、淡い期待を抱きながらしばらく水面を眺めていたことを思い出します。その時は当然ながらスッポンモドキは顔を出してくれず、ワラビー(小型のカンガルー)の死がいが一つ、流されずに木の枝に引っかかっているのを見たばかりでした。
 スッポンは、子供のころは本の中でしか会えない憧れの存在でした。やっと実物を見ることができたのはだいぶ後になってからで、その時の感激は今でも忘れられません。 時代は変わり、今では可愛い仔スッポンがお店でペットとして普通に売られています。